=== memo ===

こつこつ読書感想文📝

『永い言い訳』西川美和(文藝春秋)

妻が死んだ。

これっぽっちも泣けなかった。

そこから愛しはじめた。 

永い言い訳 (文春文庫)

永い言い訳 (文春文庫)

 


映画『永い言い訳』予告編

 

突然のバス事故で、妻を、母親を、失ったふたつの家族の再生の物語。

いる当たり前と、いない当たり前。

浮気相手を家に引き入れている際に、旅行中の妻の死亡連絡を受ける幸夫。

妻の弔い中もまったく涙を流さなかった幸夫が初めて泣いたのは、同じ境遇で母を亡くした家族との生活の中でだった。

 

「生きてるんだから、生きててよ」って、そんな簡単なもんかねと思うけど、案外そんなもんかもね。あのひとが居るから、くじけるわけにはいかんのだ、と思える「あのひと」が誰にとっても必要だ。生きて行くために、想うことの出来る存在が。つくづく思うよ。他者の無いところに人生なんて存在しないんだって。

人生は、他者だ。

ぼくにとって、死んだ君が今の今になって、「あのひと」になりつつあるような気もするよ。遅いかあー。

 

 夫婦って、なんだろう。

 

うちの嫁さんはちゃんとしたひとだが、デカくはない。泣いたりわめいたり、バランスを崩したりは本人にはつらいだろうが、それだからこそ「小さな」ぼくは、どんなにガタが来ていてもまだ、家の中に自分の身の置き場があると感じている。

 

今年、友人の旦那様が亡くなったんです。

知り合いが亡くなったなんて連絡は初めてで、詳しくは書かないけど、とにかく驚いたし悲しかったし虚しかったし、そして、理由に腹が立った。

友人にも伝えたけど、わたしが抱いのは「ずるいよ」っていう感想でした。

先日、帰省した際にその友人と会って。

なんかね、残っていた手紙が「ロミオメール」だったんですって。この本とは逆ですが。

( [ ロミオメール ]って言葉を初めて知ったよ。今年の頭、[ 汁女 ]って妖怪かよって思った言葉も実在してびっくりしたなあ。)

だったらなおさら、他の方法はなかったのかなあって思っちゃったんだけど。

自分で思っていることと相手の感じていることって、きっと、ちぐはぐで間違いだらけ。セクハラやパワハラじゃないけど、相手が不快を感じていたり相手に我慢を強いていたら、それは自分が考えを多少なりとも改めなきゃいけないんだと思う。歩み寄らなきゃいけないんだと思う。相手が自分にとって大切なひとなら、なおさら。

だから、言葉なんてコミュニケーション方法があるんだろう。そのくせ上手く使いこなせてないひとがきっと多い。わたし然り、ね。(反省)

 友人は、思っていたよりも元気そうに見えてほっとしました。

「そんな手紙貰ったからって訳じゃないけど、なんだかんだまだ好きなんだと思う」って、困ったように笑っていたのが印象的だった。

 

このひとのために、自分がちゃんと生きてなくちゃ駄目だ。

そんなふうに、夏子は思って欲しかったのだろうか。

 


天才バンド / 君が誰かの彼女になりくさっても

 (ちょっと違うけど、いちばんに浮かんだのはこの曲。)

 

上には、「伝える」ことって「お互いに歩み寄る」ことって大事!って書いたけど、あえて「伝えない」、「言わぬが花」の考えもあるとも思います。むずかしい。


宇多田ヒカル「花束を君に」(Short Version)

 

EQの本も読んでみようかな。どうやって鍛えるんだろう。そもそも鍛えられるものなのかしら。用法・用量をお守り下さい。 


有心論 RADWIMPS MV