『多動力』堀江貴文(幻冬舎)
「ゼロ」
面白かったな。ゼロでは、何を掛けてもゼロにしかならない。行動することでイチを足していく。行動さえ起こしていないのに、何もできないのは当たり前だ。
「ゼロ」なんだから。
こう思い返してみると、メッセージは常に一貫している。
重要なことは、Just do it. Just do it.
ただ実践することだ。失敗して転んでも、また実践する。膝がすり傷だらけになっても、子供のように毎日を夢中で過ごす。
好きこそ物の上手なれ。
本を読まずにテレビなどで拝見する限りの勝手な印象では、「過激な発言が多い方」なんだけど、そんなものはやはり側面でしかない。
教養の高さ、先見の目、そして、多動力。
好奇心旺盛で、日々、ワクワクすることだけを追い求めているからこそ、今の彼があるんだろう。すてき。
自分的にハッとした一節を抜粋。
「●●をしたい → ●●が必要」というのが筋であって、「●●を持っている → ●●をしないともったいない」というのは大体うまくいかない。
□その仕事を半分の時間で終わらせる為の「一工夫」を考えよう。
□10冊の流行のビジネス書を読むよりも、1冊の骨太の教養書を読もう。
→サピエンス全史
「やりたいこと」ではなく「やらなくてはいけないこと」をするように矯正され、バランスの取れた大人になる。
何か具体的な目的のための手段として人生を送ってはいけない。
楽しむことだけがすべてなのだ。
好きなことを好きなだけやっていると、手元に何かが残っているのだ。
人は「おもしろい」「ワクワクする」と感じられれば、時間を忘れて目の前の体験に没頭できる。
自分の手の内のなかから、やりたいことを選んでいた気がするなー と
この本を読んで思った。
例えば「プログラムが書けるから、WEBのコーダーになりたい」とかさ。
実際、今やっているWEB開発はワクワクする。その理由は「色」があるから。設計書もなく自分勝手に自分の好みで色を選べる。
画面がきれいだとうれしい。みんなが喜んでくれる。
ほら、なんだかやりたいことの本質は違う気がする。
現状に満足してては、いけないのだろう。
確かに彼は天才なのかもしれない。けれど、他の人よりも多く行動し、手を動かしてきた人だ。
その事実に勇気がもらえる本。
Just do it.
『博士の愛した数式』小川洋子(新潮社)
博士の記憶は、80分しか持たない。
博士と、家政婦の主人公とその息子「√(ルート)」との親愛の記録。
算数・数学が嫌いな学生さんにぜひ読んでもらいたいな。
博士はしばしば、自分の導き出した回答に満足しつつ、
「ああ、静かだ」とつぶやいた。
正解を得た時に感じるのは、喜びや解放ではなく、静けさなのだった。あるべきものがあるべき場所に収まり、一切手を加えたり、削ったりする余地などなく、昔からずっと変わらずそうであったかのような、そしてこれからも永遠にそうであり続ける確信に満ちた状態。
博士はそれを愛していた。
数式ひとつにも物語がある。
なにごとも愛があるひとから説明されると、自分にもその愛情が伝染する気がする。
『ピンヒールははかない』佐久間裕美子(幻冬舎)
一生懸命生きれば生きるほど、人生は簡単ではない、と実感する。でもせっかくだったら、フルスロットルでめいっぱい生きたい。40代に入ってつくづくそう実感することが増えた。時間は短い、やりたいことはいくらでもある、迷っている暇はないのだ。
だから自分の足を減速させるピンヒールははかない。
ニューヨーク在住のライター、佐久間裕美子さんのエッセイ。
彼女自身と、彼女のまわりにいる「トムボーイ」な女性たちから勇気をもらえる本。
「ひとりエキスパート」なんて友人に言われて、ぐぐぐ、と思う時もあったけど、この本にでてくる女性のように「ひとりで色んな場所に行くのが得意なの」って笑って言いたい。からりと。さらりと。
シングルの何が悪いんだろう!
可能性を狭めているのは、きっといつも自分自身だ。
「かくも短い人生に、諍い謝罪し傷心し責任を追及している時間などない。愛し合う為の時間しかない。それが例え一瞬にすぎなくとも。」
恐怖は、捨てようと覚悟さえ決めれば、大人になってからでも捨てることができるのだ。
ちょっと前に日本で目にして衝撃を受けた女性誌の特集のコピーを思い出した。
「幸せだって思われたい」
自分の心と付き合っていくだけでも大変なのに、その幸せが他人に紐付いているなんて、なんて恐ろしいことだろう。
身体的なことだろうと、出自のことだろうと、「自分にはこれがない」「自分のこういうところが好きじゃない」と思うのは、きっと人間という生き物であるかぎり、ついてまわることなんだろう。そして、そういう自分の苦手なところと折り合いをつけ、気持ちよく付き合っていけるようになる、というのは大人になるうえでの大きな課題なのだと思う。
ロマンチックということは、前向きということだ。彼女たちの姿を見て、またいつか自分にもそういうときがやってくるのかなあとぼんやり考えている。
こちらに住んで、3年。折々でデートをする男性はいたけど、お付き合いまではなんだか気持ちも乗らずいかず。ま、もちろん、わたしに魅力がないからじゃない?説も大いにある。
先に、言い訳のように、シングルだっていいじゃない!って書いたんだけど、
正直、時間が空けば空くほど、ふたりきりで関係を1から築くのが億劫になっていたんだよね。仲のよい友人もいるし、ひとりエキスパートですし。
でも、なんだかね、この本を読んだら、人生いろいろ、失敗上等!なんて気持ちになって、久々に飛び込んでみたくなっています。うずうず。
とかなんとか言ってみたけど、いまデートしている人にフラれたら笑ってやって下さい。えへ。
トムボーイな女性たちに敬意を込めて。