『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』唐木元(インプレス)
良い文章とは完読される文章である。
なんて明確なのでしょう。
ただなんとなくこの読書感想文ブログを書いていても、なんの力にもならないなあと思い手に取りました。 ほら、ピラティスの先生も、続けることと同じくらい工夫をしていくことも大事だっておっしゃっていたし。
ナタリーの記者さんはこのメソッドで書いているんですね。
こんなトレーニングを受けられるなんて、うらやましい!
ざっくり自分がひっかかったポイントだけ。
詳しく知りたくなった方はぜひ買って読んで下さい。
第2章以降は、辞書のように使えそうです。
第1章 書く前に準備する
「書けない」の実情は、「遅い」「まとまらない」「伝わらない」のどれか、もしくは3つともです。・文章は「事実」「ロジック」「言葉づかい」のレイヤーで積み重なっている。
・「構造シート」で主眼と骨組みをまとめる。
・基本の構成は「サビ頭」 (例)結論-問題提起-状況説明-付帯情報第2章 読み返して直す
「完読」を目指すためには、意味は脳、地面は目、語呂は耳、と複数の感覚器を使って、立体的にブラッシュアップをする必要があります。・文章は意味、字面、語呂の三つの見地で読み返す。
・文末のバリエーションに気を配る。
・時制を混在させて推進力を出す。(書き手の意識が「過去の時点からみた現在」であれば、過去の出来事を現在形で書いても成り立つ。逆も然り。)
・漢字とかなのバランスに注意し、目で見て「ほど良いグレー」を目指す。第3章 もっと明快に
完読のためほんとうに目指すべきことは、適切な長さの文章、適度に締められた文章だということ。・余計な言葉を削る。
・ときには言い切るキャッチーさを。第4章 もっとスムーズに
文章を「適切なスピード感」にコントロールしよう。・一般性のない言葉を説明抜きに使わない。
・文頭一語目の直後には濁点を打たないほうが、多くの場合スマートに感じられる。
・便利な「こと」「もの」は、重複しやすく表現がくどくなりがちのため減らす努力を。第5章 読んでもらう工夫
文章を伝える工夫は仕事の基本にも通じる。・オリジナリティは客観的な事実に宿る。
・数字を入れると具体性が増す。
・見出しも約物(!など記号)に頼りすぎない。
・インタビューの基本は「同意」と「深掘り」
・予想外の答えにこそ「おいしい」内容が現れる。
・「完読」というゴールのために柔軟にルールを使いこなす。
cakesで連載されていたんですね。
試し読みしてもいいかも。
この感想文を書くにあたって、この本の通り「構造シート」を作成しました。
結論 - 問題提起 - 状況説明 - 付帯情報
を意識したのですが、どうでしょう。って!練習あるのみ!デスヨネ〜〜
高校生の時、ちょっとだけ放送局に所属していて。
アナウンス原稿を書くのがすきだったんです。
もう全然メソッドを覚えていないのですが、「どう話したら伝わるか」を考えて何回も文章を組み立て直していたなあ。なつかしい。だからなのか、今もこうやって考えることはまったく苦じゃない。むしろ楽しい。
あの頃、こんな武器を手に入れていたら卒業まで続けていたのかしら。
なーんて。青春プレイバック。
千里の道も一歩から!
文章力を磨いておいて損はないはず。
これからも、この本を指標にトレーニングするぞ〜〜
冒頭で読者の興味をグイっと引きつけ、関心をキープしたまま、目標である「完読」までこぎ付ける。
という一節で浮かんだ一曲。文章って音楽とも似ているのかな。
引きつけられないと最後まで聞く気しないもんね。
『億男』川村元気(マガジンハウス)
「ひとつだけ、わ、分かったことがあるんだ。人間には自分の意志ではコントロールできないものが、み、みっつだけある」「死ぬことと、恋することと、あとお金だ」
去年読んだ「君の名は」小説版の解説でみつけた
ひとは大切なことを忘れていく。
けれども、そこに抗おうともがくことで生を獲得するのだ。
という一節が沁みて、一度読んでみたかった川村元気さんの作品。
映画になったものとも迷いましたが、まずは、当時本屋さんで気になりつつ読んでいなかったこちらから。
「お金と幸せの答えってなに?」
宝くじで、一晩にして3億円を手にした「一男」
これで、弟の借金だって返せるし、ばらばらになった家族だってもとにもどる!娘になんだって好きなものを買ってあげれる!
という気持ちとは裏腹に不安になった一男は、
「人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。」
という言葉を教えてくれた「大学時代」の親友、九十九に連絡をする。
事業で成功し、大金持ちになった九十九が出した答えとは、、、
以前、百瀬タイプの男性が
「ギャンブルは、結局お金を持っているひとが勝つようにできている」
と言っていた。(わたしはギャンブルに興味がないので、それが正しいのか判断できませんが)
そのひとは、海外の企業に投資をしていて、うまくいけば、◯年後に◯億入ってくる!とか、株の話とか、会社員のわたしからしたら想像できない額のお金を動かしているひとで。
そのひとに「じゃあ、そんなに多額のお金を得て、なにかしたいことがあるんですか?」
って聞いたら「物欲も、行きたいところも、特別食べたいものもない。今はそれをしているのが楽しい。」って言っていて、 投資家の方とかはそりゃあ大きな目標のもとに動いてるんだろうなあ、なんて思い込んでいたわたしは肩透かしをくらった気持ちになったのでした。
(もちろん、そのひとがたまたまそうだったのかもしれないけども)
わたしは「自分のほしいもの」をはっきりと選び出せるひとが一番豊かだと思っている。
渋谷直角さん「ゴリラはいつもオーバーオール」の大好きな一節がある。
岡本さんも小野さんも、僕がシビれていたのはそういう部分だった。
いわゆるオシャレ、とされているものも、ポップ・カルチャーもスカム・カルチャーも芸能界的なものも全部関係なく、自分の目で判断して、選んで、迷いなく取り込んでいるところ。
オシャレなもの「だけ」愛する人だったり、ステイタスとかカテゴリーとか誰かのオススメとかで判断するような人だったら、僕も気後れして、むしろアンチになっていたかもしれない。
ほしいものはたくさん誰にだってあるはずだ。やりたいことだって。行きたいことだって。知りたいことだって。
万佐子が言うように「確かに欲は人間を狂わせる。でもそれと同時に私たちを生かしている。」のだと思う。
ただ、その「価値」は「なんとなく」じゃなくて、わたしは自分で判断できるようになりたい。その為に、知識は必要だと思う。お金のことも然り。
最後に、現在のわたしのお金基準。ハチクロ真山くんの名言。
「もし好きな女に何かあった時にさ『何も考えないでしばらく休め』って言えるくらいには なんかさ 持ってたいんだよね」
(こんな世の中なので、男女関係なく!ということで。真山くん、シビれます。)
『総理の夫」原田マハ (実業之日本社)
「『日和見主義』とは、自分に都合のいいほうにつこうと形勢を窺う態度を取ることです。わたしの夫は、そんな人ではありません。たとえ世界中が敵になったとしても、わたしの側についてくれる人ですから。」
わたし、原田マハさんの描かれるお話、大好きなんです。
「名は体を表す!」な登場人物の名前も。ちょっぴりマンガチックなところも。必ず、清々しくておちゃめで前向きな女性がでてくるところも。
読んで「くらう」本もあると思うんですが、原田マハさんの本は「腹の底があたたかくなる」気がします。きゅーっと、前向きなものが底から湧きでてくるというか。
今回は、「総理の夫」とあるように、日本初の女性総理「相馬凛子」の夫「相馬日和(ひより)」が書く日記で進んでいく、政界が舞台のお話。
伝説のスピーチライター 久遠久美さんのお名前がチラっとでてきたり、「本日は、お日柄もよく」の続編もしくはスピンオフかな。
「本日は、お日柄もよく」同様、読み終わりたくない、、、でも、早くつづきを読みたい!!そんな本でした。
去年の首相の所信表明演説で「未来」というキーワードが何度も使われたのは記憶に新しいですよね。(調べたら、やっぱりスピーチライターの方とつくっているんですね。面白いなあ。)
そのあと心なしか、「未来」という言葉を広告などで目にする機会が増えた気がします。
そういう「気づき」って嬉しい。
わたしの場合、正直、今まではなんとなーくニュースや新聞で内容をかいつまんで聞き流していたスピーチを、きちんと聞いてみようと思い始めたのは「本日は、お日柄もよく」を読んだから。
だって、こんな魅力的なお話を読んだら、現実も知りたくなりませんか。
現実に、凛子になりえる政治家さんはいないのかな。
ふと。カナダ出身の友人が、去年、
「日本の経済は今こんなに面白いのに、なんで国民は興味ないひとが多いの?」って言っていたなあ。反省。