『終わらない歌』宮下奈都(実業之日本社)
「よろこびの歌」の続編。
あれから、3年後。
20歳になった それぞれの女の子の話。
御木元さんは相変わらず自分を信じられずに思い悩んでいて、うどん屋の千夏ちゃんは、なんと、ミュージカル女優を目指して励んでいて、びっくり!
「よろこびの歌」を読んだのは4月だったかな。
すぐに「終わらない歌」を読まなくてよかった。
少し会わない間に、少女からすっかりお姉さんになったみなさんに会えました。
しかも今回は、歌が、大好きで大好きでたまらないふたりに、大きな舞台が待っています。
私は情熱がほしい。どんな障害をも超えていく情熱。たぶんそれこそが、才能だとか、個性だとか、それから努力だとか、素質だとか、可能性、環境、遺伝、機会、そんなようななんだか別々のようでいて実はとてもよく似た、たちの悪いばけものに立ち向かう唯一の武器なんじゃないかと思う。
自分で勝手に思い込んでいるんですけど、わたし、「引きがいい」んです。
今年は特に、自分の欲しい答えを持っている本にすぐ出会える。
それだけ数を読めばね、って思うかもしれないけど(その通りだれど)、思うのは、願うのは、自由!ってことで。ね。
「トロンボーンという楽器がオーケストラの主役にはなりにくいからといって、僕が僕の人生の主役でないわけでない」
静かな声だった。まるでほんとうの雨みたいに、その台詞は私の体に染み込んできた。頭の中ではガランガランと鐘が鳴っていた。ガランガランと鳴らされて、夢から覚めたような感じだった。
「好きなように生きればいいってこと。誰かのために、何かのために、って考えなくても、どうせもともと意味なんてないんだ。自分がいいと思うとおりに生きればいいと俺は思うよ」
生きてる事が大好きで 意味もなくコーフンしてる
一度に全てをのぞんで マッハ50で駆け抜ける
終わらない歌 / THE BLUE HEARTS / LIVE
THE BLUE HEARTS にはちょっぴり思い出があります。
高校1年生のとき、3年生の先輩が学校祭のバンド発表で歌っていて初めて知って。
特別「かっこいい先輩だったから」とかじゃなく、他のバンドが当時流行りのバンドばかりのなかで、なんだかすごく「まっすぐ」で目立っていたことと、その先輩がライブの途中でステージからペットボトルを投げて、そのペットボトルが床に落ちた「ごとん」って音が体育館に響いたこと(ちょっとダサいなって当時思っていた)が印象的だったから。
新卒で就職して、2年後輩(確か)で入ってきたひとが、なんと、そのボーカルの先輩(ペットボトル投げたひと)だったんです。
先輩が、浪人&留年を繰り返しているうちに、なぜかわたしが先輩の立場へ。
しかも、大学も一緒で!運命的ですよね!
だからといって、なにもドラマは始まらなかったんですけど。
年齢と高校名を聞いた時に、ぱっと「もしかして?」って思ったわたしもすごい。
よっぽど印象的だったんだろうなあ。
その先輩は、奇妙礼太郎さんにそっくりです。
笑。
夢は遠い。希望は儚い。どんなに手を伸ばしてもつかめないかもしれない。夢も希望も、挫折や絶望のすぐそばにある。もしかしたら、欲しがらないほうがいいのではないか、希望など初めからないほうがよかったのではないかと疑いながら、それでも希望を持たないわけにはいかない。夢に向かわずにはいられない。
「なるほど、希望をよろこばずに歌うのは、リアルだと思ったよ」
「はい」
パンドラの箱に、最後にたったひとつ残ったのが希望だったという。それは、福音だったのだろうか。先に箱から出ていった邪悪なものたちと同じように、実は、希望もゼウスのもたらした災厄のひとつだったのではないか。
新たな解釈というよりも、自分自身の心の奥底にある本音だった。夢も、希望も、前向きなものだけではない。それがあるから苦しい。でもそれなしではやっていけない。
ああ、また引用が長くなってしまった。
大好きだ。
『君の名は Another Side: Earth bound』加納新太(角川スニーカー文庫)
earth・bound
1〈根など〉地に固着している.
2〈動物・鳥など〉地表から離れられない.3 世俗にとらわれた,現世的な; 想像力のない,散文的な.
earth・bound
〈宇宙船など〉地球に向かっている.
言わずと知れた大ヒット映画の特別編。
三葉の体に入った瀧・幼馴染の勅使河原・四葉・宮水俊樹(三葉と四葉の父親)から見た「三葉」や「宮水家」、そして「糸守町」が語られた短編集。
悪いひとなんてひとりもいない。
このデザインすきだな。
みんな空で繋がっているんですね。みんな空の下 ですね(ふるいかしら)。
俊樹には、なにがしかの意味があって自分が生まれてきたという実感はない。自分の意思でなく生まれてきたが、生まれたあとは自分の意思ではなくここにいるという感覚は持たない。何を選ぶかによって自分が決まり、選んだことによって自分はある。そうした実存主義ふうの思想を俊樹は持っている。
なんだろう。やっぱり文章で読むよりも、言葉と映像と音楽が、完璧にバチっとハマっていた映画のほうが何倍も感動するな、と改めて思いました。
「前前前世」のシーン、身震いした。
音楽にも真摯に向き合っている方なんですね。(これは「言の葉の庭」についてのエントリですが)
Other voices-遠い声- » 新作アニメーション「言の葉の庭」の音楽について
去年みた SWITCHインタビュー も とても面白かった。
アニメ映画『君の名は。』心をつかむ 新海誠監督インタビュー 16.09.15
今回の「君の名は」に関して言うと、明日会うかもしれない人についての話でもある。夢の中で男女が出会う話だけれども、現実でも、明日誰か知らない人に会うかもしれない。あるいは何年後かにもっと大事な人に出会うかもしれない。
そういう人が未来にいることを、強く信じてもいい。「まだ会っていないひとの中にすごい大切なひとがいるかもしれない」(40:28)
ここのお話がすごく好きで、再放送がある度に見ていました。
今までに、そんなに大切なひとに出会っていないから、とかじゃなくって。
今までにも、友人だって、恋人だって、家族だって、影響を受けたひとや、仕事で育ててもらったひととか、その折々に大切なひとはいる。恋愛だけじゃないと思うんです。仕事でも、なんでも。「もっと大切なひとがまだいるかもしれない」!それは、わたしにとって燦々と明るい希望。
何回も自分に言い聞かせるように同じ事を書いている気がしますが、もちろん、苦手で会いたくないなって思うひともいるし、自分ひとりの時間こそめちゃくちゃ重要だって思うときもある。
けど、今までのわたしは、良くも悪くも出会ったひとで作られてきたと思うから。
会うひとによって、どんどん世界が広くなっていったと思うから。
「まだ会っていないひとの中にすごい大切なひとがいるかもしれない」
って思って生きていきたいんですよね。「すごい大切なひと」が、たったひとりしかいないとは限らないし。
『まろやかな狂気』夢眠ねむ(マーキー・インコーポレイティド)
やっと 手に取れた。
特別「推し」って感じではないけれど、特別「目を引くアイドル」
そんな彼女の、MARQUEEでの連載をまとめたものと、今までの作品集。
わたし、勝手に毎年「ハッとした ことば 大賞」が自分のなかにあるんです。
2015年度は彼女の「明るさは優しい」が、滑り込みで大賞受賞でした。
そのときの自分のメンタルともすごく関係しているんだけど、当時はSNSやっていても、なーんか、まわりのひとが自分の暗さに酔っている気がしてて。
他人のことなんで、仕方ないし、真意はわからないし、正直、知りたいとも思ってなかったんですけど。
でも、なんか見てて「くらう」というか。黒って、明るい色を塗りつぶせちゃうじゃないですか。自分の好きなものがつまっていたはずのタイムラインに墨をべちゃってかけられたみたいな。そんな気分でSNSがちょっといやになっていた時期で。
その時にこの投稿をみて、救われたんです。
お、おいしそう…😩!って。救われたのは、もちろん文章のほうで。笑。
「明るさは優しい」ほんとだなって。
(インスタ、まるっと載せられないんですね。設定の問題?)
誰だって、得体の知れない闇にのまれそうになることはある。だからこそ、自分は付き合い方を考えていきたいなって「明るさは優しい」が目に飛び込んできたときに改めて思ったんです。
そういうひとになりたいな、とも。そういうひとと一緒にいたいな、とも。
そういうひとを応援したいな、とも。
自分のどうしようもない面や愚痴は、本当に仲の良い友達に聞いてもらうのが一番だよなって。(っていいつつ、まだネットに投げ散らかしちゃうときもあるんだけどさ。気をつけよう。)
最近の「トゥルーエンド」発言もすごく面白いなって思って、もう、これは、今このタイミングで絶対読みたいぞ!と何度目かの正直でアマゾン先生を頼りました。
(タイミングがあわず、ずーっと売り切ればかり遭遇。本との出会いも、タイミングってありますよね。不思議。)
彼女なりの「トゥルーエンド」ってなんだろう!
ファンの方はどう捉えていらっしゃるんだろう!
表現のひとつとして「アイドル」は卒業するってことなのかな。
山口百恵さんみたいに「結婚します」みたいのでも面白いですよね。
日本のアイドルの渦の中心にいた 前田敦子さんの「アイドルで始まったんだったら、アイドルで終わるんだよ」っていう発言も思い出したりして。
だから、本来脇役である自分をヒロインだって見てくれる人は全力で幸せにしたいですよね。
ー今日最後の質問です。ねむちゃんは自分がアイドルじゃない?じゃあアイドルはファンの人達からなんて言われたら嬉しいんだろう?
「えー、私の場合は、でもちょっと歪んでるかもしれない。私は『今までありがとう』がいいな」
ーあ、分かる。それは本当に経験を積んで来ないと分かんない優しさだよね。
「泣きそうになる」
ー自分の役割を全うすると。
「なんかね、私が必要なくなるくらい幸せになってほしい」
ーその為に修行を積んで来てるわけだからね。でも一抹の送り出す切なさはあるでしょ?
「あります、あります。あるけど、それが一番の幸せだと思うから。忘れられて悲しいとかあるのかもしれないけど、やっぱりその人の一番つらい時を救ったんだったら、そうやってお別れするのが一番幸せだなって思います」
この本の巻末にも載っているこのブログに、こんな一節があります。
彼女の作品をちゃんと見たことがなかったけれど、彼女の美術家としての一面もまた目を引く。
兼ねてから、『美術を支えてきたパトロン、コレクターの存在』と『アイドルを支えてきたヲタの存在』の類似点とその変換を作品にしたいと考えてきました。
この人たちは、今最も優れたコレクターであり、文化を創る人だ、と。
自分がいいと思ったことを声に出し、資金を出し、時間を割き、支えること。こんな、書いてしまうと当たり前なことができること、私はすばらしいと思っています。
ちょうどツイッターをみていたら、今度こんな展示をされるんですね。
こりゃ、覗いてみたいなあ。
「私はみんながダサいと思ってたことだって、絶対これは格好良いんだっていう自信を持って今まで物を作ってきたから。でんぱ組 .incのことだって、『何言ってんの?これ超格好良いじゃん!』って思ってた。」
「いっつも一緒。作品てそういうことだと思うんですよね、私は。いっつも言ってる『本質を見よ』っていうところだけ。ちゃんと自分を通った情報を信じろっていう」
こんなふうに、本質を捉えようと 常に頭を働かせて 手を動かして考えているところが、彼女がとくべつ目を引く理由なのかな。
あと、絶対的な自信(愛情)。不安そうじゃないところ。「どや!」って。
多少の不安はきっとあるんだろうけど、それを見せないところ。それって、すごいとわたしは思うんですよね。プロ。でも、だからこそ、安心感・安定感がある。受け手側も信じられる。
ーアイドルっていうものは、どっかで空虚なものだという感覚に捕われてるとか?
「それもあるし、『何になるんだ?』っていうのを考えてはいけない人達だと思うんです。アイドルって、ファンの人だって、通り過ぎて行くじゃないですか。例えばつらい時に、でんぱ組を聴いて元気になってどこかへ行く。それを私はアイドルのいい在り方だと思ってるから、『ずーっと一生応援しててね』ってアイドルが言うのは変だと思うんです。だから、後に残るものがないのかなって、それはそれで考えてしまうんですよ」
平等とかを掲げてくる人たちに、怯える事なく不平等に。
【夢眠ねむ】あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…【でんぱ組.inc】
でんぱ組 .inc 夢眠ねむ CM Google Android 「新しい毎日が動き出す」篇
このMVが一番すきだ、っていう選曲。
夢眠ねむ|魔法☆少女未満|わくわく運動会@MOGRA 秋葉原