=== memo ===

こつこつ読書感想文📝

『花のベッドでひるねして』よしもとばなな(幻冬社)

「花のベッドに寝転んでいるような生き方をするんだよ。幹のいちばんいいところは、心からの幸せの価値を知っていることだ。今のままでいい。うっとりと花のベッドに寝転んでいるような生き方をするんだ。もちろん人生はきつくたいへんだし様々な苦痛に満ちている。それでも心の底から、だれがなんと言おうと、だれにもわからないやり方でそうするんだ、まるで花のベッドに寝ころんでひるねしているみたいに。いつだってまるで今、そのひるねから生まれたての気分で起きてきたみたいにな。」

 

捨て子だった「幹」は、海辺でわかめにくるまっていたところを母に拾われて以来、大平家でしあわせに暮らしている。

家の裏には廃墟となった悪い噂が絶えないビルがあり、海外から戻ってきた野村くんが裏の土地を購入したという。

玄関前に毎朝置かれる小石、両親の交通事故、みんなの夢に共通する「気味の悪いうさぎ」など、奇妙なことが周囲で起こる中、ビルの取り壊しの時、ある事実が発覚する。

 

 

 かわいい表紙に惹かれて手に取った本。

なかなかスピリチュアルな内容でした。「引き寄せの法則」みたいな。

すきな方はすきそう。

わたしは、スピリチュアルなものより脳科学とかの方が面白いと思うほうなので、うう〜む、こういう世界もあるのかあ、という感想でした。

 

 「いつも側にそっとある仄暗いもの」に蓋をして気付かないふりをする幹ちゃんと、それさえもポジティブに変換できる野村くんの話、かな。

 

「嬉しいなあ、戻ってこられて。大人になるってすばらしいことだね。仕事して、したいことさえしぼりこめていたら、叶えることができる。」

 

野村くんのこのセリフがすき。

その通りだと思う。

 

例えば、自分が前職で店舗責任者をしていたとき。

「お客様係をやりたいです!」って、アルバイトちゃんが言ったら、

その気持ちに応えたいな、一緒に叶えたいなと、アドバイスができました。

そして今、わたしはサービス業を離れ、まったく別の仕事をしています。

はじめは右も左もわからなかったけれど、

去年末くらいに「こう進みたいです。」と伝えたら(もちろん伝えるだけじゃなくて、それに向けて勉強をしているし、材料は常に提示しているつもり)、

アドバイスを頂けたり、ここ3ヶ月くらいどんどんその道が具体的になってきて面白いです。6月末にはありがたいことに本当にその道に入れそうで、今とてもわくわくしております。

自分ひとりで、がむしゃらにがんばる!も、いいかもしれない。

だけど、よっぽどじゃない限り「◯ ◯ したい!」って気持ちを否定する人のほうが少ないんじゃないかな。

むしろ、応援したくなっちゃうんじゃないかな。

なんてことを最近思ったって話。

(すきな方のまねをして締めてみました。にやり。)

 

『よろこびの歌』宮下奈都(実業之日本社)

 

面白かったーーー!

わたしは、おんなのこの成長物語に弱い。

 

歌だけが素晴らしいなんてことはない。人格者でなければ歌えないわけでもない。私みたいな女子高生にも歌うことができる。

それが誰かの胸に届くかどうか、届いたとしたら、どんなふうに響いてその人の胸を揺さぶることができるか。それを知りたい。揺さぶるのが目的なんじゃない。

でも、私の歌を聴いた人の胸が揺さぶられたらどきどきするだろう。勝手に揺さぶられてよ、というのとは違う。だって、みるみるうちに顔が赤く染まったり、思わず笑顔になったり、逆に目に涙をためたり、呆気に取られたりしている人の顔を見るのはすごく励まされる。そう、励まされるのだ。私の歌がすごいんじゃない。私の歌で誰かのどこかを揺さぶる、つまり誰かのどこかに揺さぶられるものがある、ということに希望を感じる。胸が震える。うれしいとか、楽しいとか、悲しいとか、さびしいとか、いろんな気持ちをみんなが抱えている。歌によって共有することができる。

ここにいる2Bのみんなで歌う『麗しのマドンナ』が誰のどこにどんなふうに届くのか、わからない。それを考えるのは私たちじゃない。受け取る人の、自由だ。

講堂の端で待っている浅原に「よくやった」なんていわれたくない。いわせない。

言葉を失え。私たちの歌を聴け。

 

引用が長くなっちゃった。

途中で区切れなかった、まるっと大好きなシーン。

 

かると思い込んでいた音大付属高校の受験に失敗した「御木元 玲」が、「あきらめて」入学した新設の女子校。

夢に惑うおんなのこ達が、出会い、合唱コンクール、そして、うた をきっかけにそれぞれ何かを掴み成長していく物語。

 

「いい?未来の自分を思い浮かべるの。あたしたちの歌を聴いてくれるのは未来の自分だって。今のあたしたちはこんな『麗しのマドンナ』だよって見てもらおう」

 

ザ・ハイロウズの七つのうたのタイトルと共に。

 


よろこびの歌 THE_HIGH-LOWS

 

 

『もういちど生まれる』朝井リョウ(幻冬舎)

もうすぐ二十歳なんだからさ、と思いながら、オレは携帯のロックを外す。どうせ普通の企業に就職しなきゃいけなくなるんだよ。結局は、自分が休んでも代わりが務められるような仕事に就くことになる。そこで四十年近く働くんだ、たまに有給うまく使いながら。多分昼は五百円弁当で。

オレだってそうだよ。プライドなんて、持たないでいたらこんなにも楽なんだ。

それでも、どうしてだろう。そんなことを思うたび、辛いものでも食べたように、舌がぴりっと痛む。

 

「二十歳」

年齢だけが大人になってしまう。

それぞれ「二十歳」の主人公たちが、それぞれの出来事を通して「変わってしまう」短編集。

 

「さっきのシーンさ」

「自殺のシーンっていうよりも」

「この世界に生まれ落ちたみたいだったよ」

 

「もういちど生まれたみたいだった」

 


Base Ball Bear - changes

 「変わったのは、僕自身だ」

 


Base Ball Bear - 新呼吸 at NIPPON BUDOKAN from 2nd LIVE DVD

 「あたらしい朝がくれば 僕は変われるのかなあ」

 


Base Ball Bear - short hair

 「変わり続ける君を、変わらず見ていたいよ」

 

読んでる間中、BaseBallBearの曲がずっと頭の中で鳴っていました。

どちらも眩しく瑞々しい。