『ピンヒールははかない』佐久間裕美子(幻冬舎)
一生懸命生きれば生きるほど、人生は簡単ではない、と実感する。でもせっかくだったら、フルスロットルでめいっぱい生きたい。40代に入ってつくづくそう実感することが増えた。時間は短い、やりたいことはいくらでもある、迷っている暇はないのだ。
だから自分の足を減速させるピンヒールははかない。
ニューヨーク在住のライター、佐久間裕美子さんのエッセイ。
彼女自身と、彼女のまわりにいる「トムボーイ」な女性たちから勇気をもらえる本。
「ひとりエキスパート」なんて友人に言われて、ぐぐぐ、と思う時もあったけど、この本にでてくる女性のように「ひとりで色んな場所に行くのが得意なの」って笑って言いたい。からりと。さらりと。
シングルの何が悪いんだろう!
可能性を狭めているのは、きっといつも自分自身だ。
「かくも短い人生に、諍い謝罪し傷心し責任を追及している時間などない。愛し合う為の時間しかない。それが例え一瞬にすぎなくとも。」
恐怖は、捨てようと覚悟さえ決めれば、大人になってからでも捨てることができるのだ。
ちょっと前に日本で目にして衝撃を受けた女性誌の特集のコピーを思い出した。
「幸せだって思われたい」
自分の心と付き合っていくだけでも大変なのに、その幸せが他人に紐付いているなんて、なんて恐ろしいことだろう。
身体的なことだろうと、出自のことだろうと、「自分にはこれがない」「自分のこういうところが好きじゃない」と思うのは、きっと人間という生き物であるかぎり、ついてまわることなんだろう。そして、そういう自分の苦手なところと折り合いをつけ、気持ちよく付き合っていけるようになる、というのは大人になるうえでの大きな課題なのだと思う。
ロマンチックということは、前向きということだ。彼女たちの姿を見て、またいつか自分にもそういうときがやってくるのかなあとぼんやり考えている。
こちらに住んで、3年。折々でデートをする男性はいたけど、お付き合いまではなんだか気持ちも乗らずいかず。ま、もちろん、わたしに魅力がないからじゃない?説も大いにある。
先に、言い訳のように、シングルだっていいじゃない!って書いたんだけど、
正直、時間が空けば空くほど、ふたりきりで関係を1から築くのが億劫になっていたんだよね。仲のよい友人もいるし、ひとりエキスパートですし。
でも、なんだかね、この本を読んだら、人生いろいろ、失敗上等!なんて気持ちになって、久々に飛び込んでみたくなっています。うずうず。
とかなんとか言ってみたけど、いまデートしている人にフラれたら笑ってやって下さい。えへ。
トムボーイな女性たちに敬意を込めて。