『なめらかで熱くて甘苦しくて』川上弘美(新潮文庫)
「甘苦しい」って、初めて見た ことば だけど(調べてみたらやっぱり造語のようだった。)、なんだかひどく色っぽい。
おんなの生と性。
「女」として生きていくことを様々な年齢の主人公の目線で描いた短編集。
それでもアオとわたしの共通部分は消えない。決して消えない。具体的には「いやなわたしの性癖」「わたしの欠点」「わたしのとりえ」「わたしの好む食べ物」「わたしの困った酒癖」「わたしの体臭」などというものの一部が、アオにも必ずうきでてくるに違いないのだ。
他人の中に自分と似た部分をみつけるのは楽しい。または少し不快である。どちらも同じことだ。気楽だから「楽しい」「ちょっと不快」などと半端なことを言っていられる。
男は離れている女のことは恋しがる。近くにいる女には飽きる。千年以上前の世から、変わらない。この道をいったいどのくらいたくさんの者が歩いたのだろう。なつかしいのは、男たちの弱さだ。
ごく最近、「ニシノユキヒコの恋と冒険」を観た。
フラれては、モテて。モテては、フラれ。
女の子がして欲しいことがわかるのに、フラれても追いかけないニシノくん。
「ユキヒコは、誰のことも好きじゃないくせに」
そう言われるのも、わかる。すごく、わかる。
「そのひとの日常の必需品になる」
ここ数年、全然恋愛できないんですよねーって相談したら言われたアドバイス。
わたしがいなくなったら、困る・さみしいって思わせる術ってなんだろうね。
マメなひとがモテる理由もそれなのか。
七尾旅人 "サーカスナイト" (Official Music Video)
「甘苦しい」ってことばが似合うなって感じた曲。