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こつこつ読書感想文📝

『自分の仕事をつくる』西村佳哲(ちくま文庫)

 

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

 

 

こちらも金沢の美術館でみつけて。

今年、この方の本に出会えたのもわたしのとって大きなこと!

去年は山田ズーニーさんの本がそうだったなあ。共通点は「考えさせられる」点。

自己啓発本は特に、「答えって、こうじゃないですか?」って提示してくる・プレゼンしてくるようなことが多いのだけど、おふたりの本はそうじゃなくって。

ひとりひとり違うはずの「自分だけの意見」を引き出される気がするの。

「個性」なんて言いながら、自分を見失いそうになるほどの情報に溺れそうになっているなかで、「わたしの行きたいところって、本当にこっちだったっけ?」って、立ち止まって、考える時間をくれる。

本を読み進めながら感じるものがあったとして、それは一人ひとりの内側の「なにか」が反応して浮き上がってくる動き、あるいは共振だ。読み手にとって読書の効用とは、自分の中にある「なにか」に気づくこと、それろ出会うことにあると思う。

まさに、あとがきにあったこの一節の通りなんだろうな。

付箋だらけで、読み返したらまた付箋の位置が増えたり変わったりしそうなんだけど、今のわたしが読んでハッとしたところを、数節。

 

性善説的な響きが強すぎるかもしれないが、私たちは少しでもいい形で働き、いい仕事をしたいというエネルギーをもつ生き物ではないだろうか。

働くことそのものに、手応えと喜びと、自身の存在価値を見出したい生き物。

 

”私のデザインから生み出されるモノの量を考えると、いつも複雑な気持ちに駆られる。美にかかわる職業の中でも羨ましく思うのは、ダンサーと俳優だ。彼らは人々の心に記憶として刻みつけられるもの以外、何一つ残さないから"

 

仕事は自分と社会と関係づける重要なメディアである。日本のような企業社会では、「仕事」という資源はとくに会社に集まっている。私たちは野菜や食材を買うために、スーパーマーケットへ出かける。それと同じく、会社とは、「仕事」という商品の在庫をかかえたスーパーマーケットのようなものだと考えてみる。小さな会社は、商品(仕事)の品揃えが少ない。大きな会社は売り場面積も広く、商品(仕事)の品揃えや種類も豊富だ。

 

色や形は、プロダクトの魅力の一部分に過ぎない。そもそもデザインとは、コーヒーカップそのものではなくコーヒーを淹れて飲むことの幸せや、車そのものでなくドライビングの喜びを対象とする仕事だ。経験をデザインするということ。五感の豊かさは、人生の豊かさでもある。

 

後先を考えない人は「馬鹿」と称されやすい。しかし未来は、今この瞬間の累積以外の何ものでもない。最も退屈な馬鹿とは、いますぐに始めればいいことを、「明日から」「来年からは」と先送りにする人のことを指すのだと思う。いま現在の充実を積み重ねることが何よりも大事であるのに、私たちは様々なことを先送りにしやすい。今この瞬間の幸せよりも、将来の幸せの方に重きを置きやすい心性がある。

 

最近、仲が良い友人に、とあることを相談したところ、

「予想できる未来を生きるつまらん人間になるなよ」ってアドバイスを頂いて、いらっとしたんです。

ちょっと、図星だったのかもしれない。だから、ひっかかったのかもしれない。

いま、仕事で積み上げている知識があって、2ヶ月前にはできなかったことが、どんどんできるようになっていて、これこそ、未来に向けて、来年に向けて、累積させていっている気がするんだけど、人間関係もそうだと思って。

わたしとそのこは、出会ってまだ3年くらいのものだけど、

シェアハウスで出会い、一緒に住んでいた頃は毎日顔を合わせていて。今こそばらばらだけど、未だに週一くらいで会っているんです。もちろん、気が合うし信頼できるから(趣味はまったく別。共通点はラーメンとお酒が好きってことくらい)一緒にいる。

一緒に過ごしてきた時間が、内容が、彼女への信頼の積み重ねになっているんだと思う。

 

あれ、話がずれてきたかしら。

結局、積み重ねがない(少ない)未来に、わたしは賭けることができなかったんですよ。

っていう話。つまらんのかな。