=== memo ===

こつこつ読書感想文📝

『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社)

またかーー!!って思われるかもしれませんが、「わたしのはたらき」を読んだ際に坂口恭平さんのインタビューに衝撃を受けたんです。(わたしのはたらき、本当に面白いよ!っと、こそっと。もう、こそっとレベルじゃないか。)

僕、スーパーマリオで好きなのは、あのコインでモノを買えないところなんです。100枚ためたらランクアップとかあるけど、それって「もっと生きろ」っていうことでしょ?

「人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、他人の指示を仰がないと、自分の理性を使う決意も勇気も持てないからなのだ。だから人間はみずからの責任において、未成年の状態にとどまっていることになる。」

自分の理性を使う勇気をもて、って。これヤバイ話だと思う。読んで、俺「そりゃないでしょ?」と思った。哲学ってそういうことかと思いもしたんですけど。自分で厳密に考えてゆくことが哲学なんだって。当たり前ですね。いま自分でもびっくりしたけど。

なに、このひと?!って思った。うわあ、面白い!って。

 

「わたしのはたらき」を教えてくれたおねえさんに感想メールを送った際に「坂口さんのインタビューが特に好きでした」と書いたら、「Twitterもすごく面白いよ」って教えてくれたので、即フォロー。

いろいろな活動をされているようだけど、 本も何冊か出されていることを知り、とりあえずタイトル的に読みやすそうだな〜と思ったこの本を手に取りました。

結果、「ぞくぞくした。」はい。めちゃくちゃ ぞくぞくしました。

 

まず僕たちはもともと狂っているのだ。そこから始めたい。

 

建築家、作家、画家、歌い手、そして、新政府を設立し初代内閣総理大臣に就任。

本のタイトルが「独立国家のつくりかた」

多分、インタビューを読んでなかったら手に取らなかったんじゃないかな。

わたしの知っている「普通」と、どうやら違うらしいってことにはすぐ気付いた。自分が「狂っている」なんて、微塵も考えたことがなかった。

 

子供の頃からの、彼の頭のなかを、考えを。そして、「0円ハウス」「モバイルハウス」「新政府設立」「0円特区」など実際に起こした行動を覗ける本。

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

 

 例えば「0円ハウス」は、俗にいうホームレスの方々がお金をかけずに作った家のこと。実際に彼のホームページに写真がのっています。

0yenhouse -Kyohei Sakaguchi-

 「おもしろいことはお金がかからない」

僕は彼らの「考える」という行為を見ていて、どうやら僕たちは何も「考えていない」ということを知った。匿名化したシステムの内側にいる限り、考える必要がないのだ。

普通に考えよう。常識というものは、文句を言わないようにというおまじないでもある。まずは、そのおまじないから解放される必要がある。おまじないからの解放は、「考える」という抑制によって実現する。

 

「問題がない」のではなく、「問題」と見なしたら大変だから「問題がないことにしている」だけ。見て見ぬ振りをする、臭いものに蓋をする。日本の言い回しでそんな言葉がある。まさに、それをやっているのが今の労働の現場である。建築の現場である。生活の現場である。政治の現場である。

そうやって、自分のまわりの事柄を見ると、そういうもので溢れていることに気付く。それが、僕にとっての「考える」トリガーである。それはお荷物ではなく、僕にとっては「宝」である。磨けば光るよ。

 これを読んで思い出したこと。

サービス業時代に一緒に働いた大学生の男の子。出会った時は高校生だったなあ。

本社の戦略で、北海道の店舗全てがフランチャイズに切り替わったとき。

それまでの「正義」が、一気に塗り替わっていったんです。オーナーがいて、オーナーがこの店舗を運営しつづけるためには利益が必要で。そのために変わらなきゃいけないことが多々あった。それを、わたしはこの本に書いてある親方のように「おかしいよなあ」と思いつつも、食品衛生的な問題とかではないし、「仕方ない」=「問題がない」としていた。

彼はそれを怒っていて、顔を合わせるとそのことで口論になってばかりでした。

まっすぐ「おかしい」と訴えていた。

わたしは、その店舗でひとりしかいない社員のわたしが「おかしい」って認めたら、それこそ「問題」じゃんって思っていた。他のみんなも揺らぐのは避けたかった。

結果、エリアマネージャーを呼んで3人で話しあって、彼はあまり納得していないようだったけど、なんとなく言いくるめられたのだったかな。

もう5年くらい前のはなし。彼はまだあのまま世界をまっすぐ見ているのかな。

「おかしい」ことに「おかしい」って言えているのかな。

異動が決まってお別れ会をしてもらった時に、もう彼はアルバイトを辞めていたんだけど来てくれて、なぜか、箱に入ったプレゼント(っていっても、ラッピングとかしていないただの箱)をくれた。カブトムシの磁石(リアルなやつ。しかもデカイ。)と、きらきらのラッピングクッションの下に隠すようにして、江原啓之さん(確か)の本が入っていた。たぶんまだ実家にある。

一緒に働いていたときは、ほんと口論ばかりしていたから、最後の最後まで何したいのかさっぱりわたしにはわからなかったよー。今、なにをしてるんだろう!

帰ったら、もらった本を探してみようかな。

あの時、わたしも彼と一緒にその「おかしい」ことを変えようと行動していたら、まだあの仕事を続けていたのだろうか。辞めた理由はそれだけじゃないけど、好きだったんだよね。この前も先輩と「楽しかったよね」って話をした。「大変だったけどね」って。ウーン。ノスタルジー。

 

そんな引っ掛かりがあるからなのか、ただなんとなくなのか、世間が蓋をしている「おかしい」を声に出して言うひとは、目を引く。最近だと、ウーマンラッシュアワーの村本さん。

この番組、テレビの印象と違いますよね。これを見るまで、失礼ながら「むっちゃ早口」と「ロンハーで、今野杏南ちゃんへの対応がくそゲスかった」って印象しかありませんでした。わはは。

この番組を見て漫才もみてみたいなって思ったから、「ゲスい」イメージよりも「大人の社会風刺」推しでぜひいってくれたらいいのになって勝手に期待しています。

需要があるかはわからないけど、その枠を持っている若い芸人さんって少なそう。どうなんでしょう。

個人的に、今後のご活躍が楽しみな芸人さんです。(今も十分大人気だということは存じておりますが)

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あ、話がかなりずれましたね。

働かないと人間が駄目になってしまう。お金もやはり少しは大事。そういうことを考える人のことも理解できるが、国民が住宅ローンや車の購入など借金をすることで経済が発展するという、まったく合理的ではない考え方をもう改めないといけない。

僕はもしお金を稼ぐなら、署名入りのその人の作品のようなお金を手にしたいなあと思うようになっていた。

僕の場合で言うと、それらの服を着た情報を「なぜ大学に行く必要があるのか」「なんでただ学校の成績がよいだけで大学の良し悪しが決まるのか」「なぜ人は大学名だけで自らの進路を決めるのか」などを考えることで、少しずつ服を脱がせていく。そして、大学を選ぶ前に、まずは「自分がどのような建築家になりたいと思っているのか。そのモデルとなるような人間を探さないといけない」という裸の情報に出会ったのだ。

 

自己実現をするのではなく、社会実現に向かっていく。

それをまず決めるんだ。

 この言葉を見つけたとき、「これだ!!」って胸にすとんと落ちてきた。

最近、自分のことばっかりでいやだなあって感じていたの。「社会実現」かあ。

 

「姑息な無駄は無駄で終わるが、壮大な無駄は大きな財産となる」

 

この本がでたのは2012年。もう5年以上経っている。

他の本も読んで彼の活動を追ってみたいな。どう変わっていっているんだろう!

 今日初めて聞いた音楽も素敵だったんだよなあ。

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