『すべてはあの謎にむかって』川上未映子(新潮社)
ファスト&スローが読み進まなすぎて(やっと今日読み終わりましたーー!パチパチ。最後の方は3ページ読んだら眠くなる催眠にでもかかったようだった。わはは。)、閑話休題じゃないですが、そちらがつらくなったら読む!というふうにさせて頂いていたエッセイ。
ひとつひとつが短く、思わずくすりと笑いが漏れるコミカルな内容が多くて とても読みやすかったです。
閑話休題のつもりが、「ほー!」とか「へー!」と思う内容が多く、特にこれは「ああ!」と、ぽんと膝を打ちたくなったのですが、、
たとえば本を読むとき。ほとんどの人は黙読だと思いますが、黙読は黙読でも、みなさんは頭のなかで音にしてます?あるいは目だけで済ませてます?きくところによると、なんか二種類あるみたい。そして目だけで捉えて読む人は速度は速く、音声を立ち上げる人は少し遅くなるのらしい。
わたしは、ほぼ「音にする派」なんですよね。だから、響きがいい文章が好き。
川上さんの書かれる文章は、からころと響きのきれいな印象があります。このエッセイは特にそうだった。その理由は、これかーー!!って思ったの。ふむふむ。
あと、この「キャパシティ問題」。
名前を覚えるのは営業の基本であって、間違えることは許されない。わたしは決して少なくない数の顔と名前を一致させることだけを至上命題として生きていた日々があり、その濃密な期間に「その部分」はめでたくフルになってしまって、それ以上はもう入らなくなってしまったと単純明快に考えれば、なんの根拠もないけれどなんとなく腑に落ちるような気もしなくないのだった。
「わたしも」なんて言ったらお叱りを受けるかもしれませんが、転職してからというもの、ひとの名前がぜんっっぜん覚えられなくて。
以前は、1店舗従業員100名弱 + もちろん退職等で入れ替えあり × 長くても1~2年以内に異動ありで再度覚えなおし の日々をおくっていたのですよ。
それをやらなくていいとなったら(今は最低限チームのひとの名前さえ覚えれば仕事ができる)、もう、全然覚えられなくなりまして。
同僚に「えっ、同じフロアの○○さんだよ?!」と、覚えてないのかよまじかよと驚かれるんだけど、よっぽどの美男美女でも名前は覚えられません。「あ〜あの美人!」みたいな。(って、めちゃくちゃ失礼ですね。さすがに用事が出来た時は間違えたりしないよう座席表で確認しているよ・・・!)
ああ、「キャパシティ問題」で片付けたい。(ごめんなさい。)
他にも、
「欧米人には一重まぶたの人間がいない」ということに気がついたわたしは驚愕のあまりしばらくあんぐり動けなかった。
とか。(確かに!)
新潮社クラブにはじつはうわさがもうひとつあって、それは幽霊が出るというものなのだ。新潮社クラブには過去現在の有名作家が数多く滞在して、なんの幽霊かというとこれはもちろん作家の幽霊。では誰がいらっしゃるのかといえば開高健と三島由紀夫で、どうやらこの2人以外の名前は耳にしたことがないので、このお2人で決まりなんだろう。
とか。(ほお。)
ファスト&スローよりも興味深かったかもしれません。
いや、これは、好みの話。全然ジャンルが違うけれどもね。
もともと世のなかに放り出された時点でそこにあるのはわからないことばっかりなのに、生きてみればそのわからなさは順調に増えてゆくばっかりなのだから、まるでわからなさの足し算とかけ算で世界は盛り盛りとできあがっているかのよう。