『今だけのあの子』芦沢央(創元推理文庫)
ミステリの定義がわからない。
「推理小説」「探偵小説」を想像していたのですが、違いました。
全て、ラストに明るい裏切りがある「女の友情」の短編集。
わかるわ、大変だったわね、つらかったでしょう。
話を聞く前から、少なくともそのどれかを口にしようと決めていた。相手から話を引き出すためには、まずわかりやすい共感を示してみせる。それは、わたしが七十年余り生きてきて身につけた処世術の一つだった。
俺もそう思うよと、そうひと言言うだけで気持ちは全然変わってくるというのに。ほとんどの場合はそれだけで解決してしまうと言っても過言ではない。人が愚痴をこぼすのは、共感して、不満を抱いている自分を肯定してもらいたいだけなのだから。
そうなんだよね、自分が愚痴こぼすときだって、聞いてほしいだけなんだ。
解決策がほしいわけじゃないんだ。
なのに、毎回、会社の愚痴を送ってくる同僚に「こう上司に言ってみたら?」とか「本当はこういう意味だったんじゃない?(ポジティブ変換)」とか言っちゃうんだよ……
自分のことは棚にあげて(重要)
知り合いはもちろん自分に関わることの愚痴を聞くのがきらいなんです。わは。
愚痴の対象がまったく知らない人だったら、親身になって聞けたり、笑い話にできたりするけど。
100%同じ感情のことって滅多にないし、その人が嫌いでも、わたしはそうじゃなかったり。逆もまた然りなので、お互いの知り合いの愚痴は聞きたくないし、言いたくなーーい!
って言いつつ、自分棚上げマンなので、つい言っていることもあるかもしれない。ごめんなさい。気をつけよう。
「今だけのあの子」
卒業で、就職で、結婚で、出産で、めまぐるしく変わる 女の友情。
今は、SNSがあるからいいですよね。
おかげで、歴代の友人はもちろん、物心ついていない時からの友人の現状だって だいたい分かるし、連絡もすぐにとれる。
その時だからこそ、生まれた友情。
多少、変わっていっても、それはそれでいいと思う。
またいつか縁があったら交わって「その時」の話を笑ってすればいいんだから。