『もういちど生まれる』朝井リョウ(幻冬舎)
もうすぐ二十歳なんだからさ、と思いながら、オレは携帯のロックを外す。どうせ普通の企業に就職しなきゃいけなくなるんだよ。結局は、自分が休んでも代わりが務められるような仕事に就くことになる。そこで四十年近く働くんだ、たまに有給うまく使いながら。多分昼は五百円弁当で。
オレだってそうだよ。プライドなんて、持たないでいたらこんなにも楽なんだ。
それでも、どうしてだろう。そんなことを思うたび、辛いものでも食べたように、舌がぴりっと痛む。
「二十歳」
年齢だけが大人になってしまう。
それぞれ「二十歳」の主人公たちが、それぞれの出来事を通して「変わってしまう」短編集。
「さっきのシーンさ」
「自殺のシーンっていうよりも」
「この世界に生まれ落ちたみたいだったよ」
「もういちど生まれたみたいだった」
「変わったのは、僕自身だ」
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「あたらしい朝がくれば 僕は変われるのかなあ」
「変わり続ける君を、変わらず見ていたいよ」
読んでる間中、BaseBallBearの曲がずっと頭の中で鳴っていました。
どちらも眩しく瑞々しい。