『旅猫リポート』有川浩(講談社)
僕はサトルのたった一匹の猫だ。サトルは僕のたった一人の相棒だ。
ある理由から一緒に過ごすことができなくなった猫の里親探しの旅をする、悟と愛猫「ナナ」のお話。
電車の中で読んじゃ だめ。
なんとなく予想がつきつつも、ラストにかけて涙を堪えるのに必死でした。
ちょっと生意気なナナの目線で語られる「ナナの里親候補」の、悟の友人たちとの再会。悟の気持ちが語られることはなく想像するしかなかったが、ひとつひとつの出会いを大切にして、丁寧に生きている悟はとても魅力的だった。
「死んだ猫は、ちゃんと悲しまないと片付かないんだよ。ここで間に合わなかったってうじうじ拗ねてないで、ちゃんと悲しんでおいでよ。間に合わなかったけど会いにこようとしてたんだよって言っておいでよ。宮脇がちゃんと片付けておかないと、猫だって心配で浮かばれないよ」
猫だけじゃない。
「気持ち」もそうじゃないかな。
「かなしい」「さみしい」「くやしい」「うれしい」
自分でも気付かないうちに蓋を閉めて、置き去りにしている「気持ち」ってたくさんあるんじゃないかな、と感じた一節。
小沢健二 - ぼくらが旅に出る理由(Single Edit)