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こつこつ読書感想文📝

『東京を生きる』雨宮まみ(大和書房)

苦く、甘く、息が苦しく、死ぬほど退屈で憂鬱で早く死んでしまいたいと思いながら、もっと、もっと深く溺れてみたいと思っている。もっとすごいものを味わってからじゃないと死ねないと思っている。


もう去年の話の話なんですね。40歳という若さで亡くなった 雨宮まみさん の私小説エッセイ。2015年発行。じっとりとした湿度を感じる本だった。

 

「東京を生きる」

東京で生活するひとそれぞれに「東京」に関するエピソードがあるように思う。
少なからず、私にだってある。
3年前、転職と共に初めて「住んだ」東京。
この本のなかには、「東京は冷たい街だ」とあるが、わたしはそういう風には思わなかった。
むしろ、よそ者に優しい街。
六本木や銀座など敷居の高い「ザ・東京」な街もあるし、ひともいる。
だけど、雑誌でみるようなオシャレなひとなんてほんの一握り。
街が雑多な分、ひとも、ファッションも、きっと生き方も雑多。
(わたしには、お店が洗練されている分、地元札幌の方がファッションにも統一感があって街行くひとはおしゃれに感じる。)

 

どなたかが雨宮さんに宛てた文章で「東京が歩いて来たと思った。」と書いてらしたのを強く覚えている。
雑多な東京の景色にはならない ぱっと目を引く芯のある女性だったのかな、なんてお会いしたこともないのに勝手な想像をした。

亡くなったのを知ったのは、ツイッターだったかな。
ものすごいファンだったとかいうわけでないけど、遠く先の道を走っている、まさにこの本の言葉を借りると 希望に見える「年上の女性」だった。

きっと40代も50代もずっと先を走り続けて下さるんだろう なんて甘い考えを抱いていた。

ひとつ、本のいいところは(悪いところでもあるのかもしれないけど)、本の中で何度でもお会いすることができることでしょうか。
まだ東京のどこかで、溺れそうになりながら、もがきながら、書いて、書いて、書き続けていらっしゃるような気がしてなりません。

 

去年末、東北出身の友人と地元にいつか帰りたい?という話をした。
わたしも、彼も「(まだ) NO。」
雨宮さんほど、東京に焦がれて出てきたわけではありませんが、一度住むと、
仕事の面では特に、質もそれを取り巻くひとも全然違う。

「まだ東京で消耗してるの?」なんてキラーフレーズも囁かれていますが、
(しっかりこの方の本を読んでから判断したいと思っているのですが)
実際はどうなんだろう。

東京と同じ質で地方でも仕事ができれば、世界は変わるのかなあ。
そんな他人任せじゃ世界なんて変わらないんだろうな。

 

(雨宮さんのイメージではないですが)


きのこ帝国 - 東京 (MV)