=== memo ===

こつこつ読書感想文📝

『あの日、あの曲、あの人は』小竹正人(冬幻舎)

曲名を見て、一曲も知らない自分に驚いた!ひゃー

歌番組とか、そういや見なくなったな〜となんだか年齢を感じました。

本当に、自分の興味あるものしか聴いてないんだなあ!

あの日、あの曲、あの人は (幻冬舎文庫)

あの日、あの曲、あの人は (幻冬舎文庫)

 

 LDHに所属されているアーティストが好きな方には、ものすごーく楽しめる内容かと。

 

「小竹さんの歌詞はどうしようもなく悲しく、救いようもなくせつないのが特徴だと思ってましたが、この詩はもはや病んでしまいます。病み曲です。」

曲を全然知らなかったわたしですが、この感想わかるなって。全体的に、せつない。国民権を得ている作詞家さんの歌詞がそうだということは、みんな自分の中のエモさを音楽に託してるのかな。

Flower 『白雪姫』 3/4発売 2ndアルバム『花時計』

「若さなんてあっと言う間に消える」「つまんない時計はめたら つまんない時間過ごすのよ」「つまんない Life Styleじゃ つまんない大人になるのよ」と、いつもメールでE-girlsメンバーに言っているようなことを書いています。

大人になるとわかるのだけど、古今東西、まともな大人の言うことって実はすごく正しい。


E-girls / Anniversary!!

 初めて見た光景が一生忘れられないことってある。こんな世界は今まで知らなかったと衝撃を受け、ずっと覚えていることってある。

喜び、悲しみ、幸せ、つらさ、嫉妬、恥ずかしさ、達成感、絶望、恐怖、安心、不安、怒り、感動、我慢、緊張・・・

数えきれない人間のすべての感情は色を持っていて、その色たちがその時々の自分を塗り替えていくのが人生だと思う。

たとえ自分の人生が一瞬にしてモノクロになってしまっても、また一色二色と自分で色をつけていけばいい。 

私は、たくさんの素敵な人に様々な色をもらって、それを自分の人生に少しずつ塗り重ね今に至っている。 

 私もそう思う。

本を読むのがすきだけど、実際、新しいひとと会ってその人のことを深く知ることは、本よりももっと得ることがあると思う。

尊敬できる諸先輩方はもちろん、歳下でも自分よりしっかりとした考えの方だってごまんといる。

たまに「この人とはあわないなあ!」なんて方もいるけど、「わたしとあわない」だけで、そのひとにも家族がいるし友人もいるし恋人だっていたりする。だから、本当に「わたしとあわない」だけなんだと思う。

つかれちゃうこともあるけど、これからも、ひとと出会い続けていたいなーと思うくらいにはひとが好き。小竹さんも書いてらしたけど、だからってやみくもに会うわけじゃなくて、自分が前向きになれるひとに会っていきたいなって思ってます。

 

最後に。

LDH所属アーティストの曲のなかで、唯一わたしでも聞いたことがあった曲。

日本を代表する美女達が眩しいです。


KOSE|Tokyo Seven Days Special Movie ディレクターズカットver.

 

『ふたつのしるし』宮下奈都(幻冬社)

ふたりの「ハル」。温之と遥名。

自分に正直だが、世間から落ちこぼれだと言われる「ハル」と

自分に蓋をしているが、優等生の「ハル」

ふたりの「ハル」のものがたりが、みつけた「しるし」によってやがて混じり合う。

 

ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

 

 

名前と自分が一致したのはいつだったっけ。

ハルのように、わたしはずっと「なっこ」だったんだよなあ。今は、そう呼ぶのは地元の友人くらいになっちゃった。

 

いちばんいいときに浮かんでくるしるし。しるしというのは、希望と似ている。今じゃなかったら気づかなかった。一年前でも、五年前でも、わからなかった。すれ違ってもお互いに気づかなかっただろう。

 

一瞬出会って、それきり交わらなかったふたりの物語がまた交わるのは あの震災のとき。

自分に正直でまっすぐにしか生きられない温之だから、すぐにしるしに気づけたのだろうし、遥名の場合は、震災というイレギュラーなことがあったから、しるしを信じられたんじゃないかな。

あの時、日本にいた人なら、きっと忘れられない 長い長い長い1日。

 

ぜんぜんちがう。思っていた中学生活とぜんぜんちがう。もっとほんとうのことに近づいてもいいんだと思っていた。うれしいことにも、悲しいことにも、いっぱい揺さぶられながら生きていくんだと思っていた。できるだけ揺さぶられないように、揺さぶられてもそれを気取られないように、縮こまって縮こまって息をしている。

「みんなでドッジボールやらなきゃいけないなんて、そんなの休み時間じゃない」

花井さんはそういった。

なるほどなあ、とハルは思った。たしかに、そんなのはぜんぜん休みにならない。学級会で決まったことが正しいわけでなないのだ。ハルにとっては発見だった。それまでのハルは、正しいか、間違っているか、考えることもなかった。正しいか。間違っているか。そこにハルの興味はなかったのだ。まして、学級会での議題に自分の考えが関与することなどないと知っていた。

そうではなかったのかもしれない。関与するかどうか、できるかどうか、そういうこととは別に、自分の考えがあってもいいのかもしれない。

「東京に来て、よかった」

遥名の胸にはまだ熱が残っていて、じんじんと放射している。

 

宮下さんの表現が大好き。じんじんします。キュンキュンします。

 


スピッツ / 愛のしるし

 

震災で思い出す、ちょっと不思議でこわい わたしの話。

あの日の夜から、知らない人からSMSが2〜3日に1回届くようになりました。

いちばんはじめは「こわい。不安だ。」というもの。

被災した方のSOSかと思って返信しようとしたり電話しようとするのですができませんでした。(今思えば、着信拒否されていたのでしょう)

それから、「これから不安だ」だの「彼女がほしい」だの「親を安心させたい」だの、そのひとが不安に思っているんだろうことが、1ヶ月くらいの間送られてきて。(わたしも拒否すればいいのに、なぜか、被災した方だったら!とか思っちゃってたんですよね。んなわけないわー!どう考えてもそれどころじゃないだろうよ!!!)

最後に、

「今もまだ〇〇(わたしが当時住んでいた駅名)に住んでいるのですか。〇〇(わたしのフルネーム)さん」

とだけ来て、それきり送られてこなくなりました。(キャー!)

そもそも知らない番号だったし、その時引っ越して2年目くらいで住所知っている人でそんなことしそうな人も思いつかなかったし、もー、なんなの!という思い出。

不安なのは、おまえだけじゃないぞ!全国民そうだったぞ!

まあ、でも、そんなことしちゃうひとの方が、そんなことしたことも忘れて今は幸せに暮らしてるんだろうね。そうであってほしい。

 

人生はクローズアップで観れば悲劇だが、ロングショットで観れば喜劇だ、といったのは誰だったか。

 

『春の庭』柴崎友香(文藝春秋)

ドラマチックでも、個性的な登場人物が出てくるでもない。何かが変わるわけでもない。

ただただ淡々と過ぎる日々。

ああ、そうか。普段わたしは小説に多くを求めすぎていて、これこそが、わたしたちの日常を切り取った話なんじゃないのか。

なーんて。

春の庭 (文春文庫)

春の庭 (文春文庫)

 

 表題作で芥川賞受賞作の「春の庭」と、3編の短編。

共通点は、主人公が地方から出てきて東京に「住んで」いること。

太郎はなにをするにも、「面倒」という気持ちが先に立つ質だった。好奇心は持っているのだが、その先にある幸福やおもしろみのあるできごとを無理して得るよりも、できるだけ「面倒」の少ない生活がよいと考えていた。

「東京は、次々建物が建って、新しいお店ができて、人に会うたびにあれがおもしろい、これができるって、なにもかも速いですよねー。違うか。よくなるのは早くて、悪くなるのは遅い」

怖い、という感情は経験の産物だ。知らないものは、たぶんほんとうはなにもこわくないのだ。

 

陸続きの県出身のみなさんからしたら「東京」はどんな場所なんだろう。

北海道出身のわたしからすると、住む前は、同じ国のはずなのに海を隔てた外国のような場所でした。(ま、実際に海を隔てているしね!)

今でも、アジアへ旅行へ行くのとなんら変わらない飛行機運賃や、10度近く差のある気温を確認しては、「遠いなあ」なんて思うこともあります。たった1時間半あればつくのにね。

関東の大学に進学したひとも就職したひとも半分以上北海道に帰って来ていたし、そもそもまず出たがらない。生まれた「市」だけじゃなくて「区」以外に住んだことない人もざら。今思うと不思議だけど、それがわたしの「普通」だったんです。

北海道と九州出身のひとは東京に対する意識が近いと聞いたことがあるけど、本当なのかしら。話してみたいな。

 

「うん、そうやな、気にならへんのじゃなくて、慣れた。そこになにがあるかわかってるのに、わりとすぐ、なれてもうた。自分が慣れるってわかってしまって、怖くなってる」