『PRODUCERS' THINKING』高根順次(blueprint)
スペースシャワーTVの映画プロデューサーをされている、高根順次さんの本。
1〜3章は、ご自身がプロデューサーを務めた作品での例と共に考え方を、4章以降はリアルサウンドで連載されていたインタビューをまとめたものです。
PRODUCERS' THINKING “衝撃作"を成功に導いた仕掛け人たちの発想法
- 作者: 高根順次,発行:株式会社blueprint 発売:垣内出版
- 出版社/メーカー: 垣内出版
- 発売日: 2017/04/28
- メディア: 単行本
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第1章 プロデューサーとはどんな仕事なのか?
「フラッシュバックメモリーズ3D」
第2章 プロデューサーに必要な資質、考え方、行動
「私たちのハァハァ」
第3章 共に戦える”仲間”の見つけ方
「劇場版 BiSキャノンボール2014」
雑誌にせよ、映画にせよ、現代はあらゆるコンテンツがすでに出尽くしている状況です。そのため、かつて面白かった企画を現代的に焼き直したようなものが作られがちになります。もちろんそれはそれで意義があるやり方だし、成功することもあるでしょう。過去の作品のオマージュといえば、物づくりのマナーとしても聞こえは良いです。ある意味、焼き直しのコンテンツは安パイなのです。
しかし、そこには新たな視点はない、ただ焼き直しただけの作品では、70点は取れるかもしれないけど120点は取れません。
第4章 プロデューサーが持つべき”覚悟”
映画というのは、基本的に「なぜ?」と思わせるポイントがないとダメで。
第5章 ”奇跡の作品”が生まれるまで
「この世界の片隅に」沢村敬
画一的された作品を受け取るのではなく、多様な映画の中から自分の観たい作品を選ぶことができるのが、成熟した映画社会と言えると思います。嫌な気分の時に、あえて嫌な気分の映画を観て自分が救われることもあると思うんです。
第6章 作家主義を成立させるために
「恋人たち」深田誠剛・小野仁史
第7章 インディーズ映画のサバイバル術
SPOTTED PRODUCTIONS 直井卓俊
第8章 社会問題とドキュメンタリーの接点
「FAKE」木下繁貴
世間の声やコンプライアンスも怖いですが、一番怖いのは製作者側がそうした声に委縮して自らの表現を抑えてしまうことなんじゃないかなと、個人的には考えていますね。
第9章 王道回帰のドラマ作りが視聴者を呼び戻す
第10章 テレビと映画の垣根をどう捉えるか
「ディアポリス」横山蘭平・西ケ谷寿一
あの人の作品なら観てみたいっていうブランドを、もう一度作らなければダメですよ。そうじゃないと、永遠に”原作が何万部”というところにしか頼れなくなってしまう。
第11章 コンテンツの魅力を最大化する”場所作り”
立川シネマシティ 遠山武史
第12章 今、日本のエンタメ界に求められる作品とは
東京国際映画祭 矢田部吉彦
第13章 批判と向き合うための心得
無人島プロダクション 藤城里香
アートの世界だと今の瞬間も大事だけど、その先を見据えることが、今のこと以上に必要なんですよ。
第14章 ”ダイヤの原石”を見つけ出す方法
水曜日のカンパネラ 福永泰朋(Dir.F)
ただトレンドを押さえるだけではダメなので、プラスαでアホなことをするように心がけています(笑)
新しいものは、これまでのモノを良く研究した末にしか生まれないから、時間をかけた分、情熱も自然と宿るのではないかと。
高根さんを知ったのは「BiS」というアイドルの映画「BiS誕生の詩」のトークショーの際でした。
(こちらは後編というか続編。BiS〜はアイドル及びオーディションに参加した女の子たちがメインで、SiS〜はまわりの大人たちがメイン。わたしは後者の方が好み。)
まず、一応タイトルにメインであるだろうアイドル(BiSとSiS)の名前がついている。なので、でている「推し」目当てで観に来ているファンの方も多かったはず。
そんな中、トークショーで高根さんがなにげなく言った
「僕、オーディションに来ている女の子達に興味持てなかったですから。全然面白いと思わなかった。」
(ニュアンスはあっているはず。この後、「面白いのは、渡辺くん(BiSのプロデューサーの渡辺淳之介さん)とか」とつづきます。)
のひと言に驚いたし、自分の主観を大切にしている方なんだなあ、と感心したんです。
わたしだったら、あの場では絶対に言えないひと言!
このひと言で、この方が「面白い」って言っているものを観てみたーい!と思い、BiS〜を見た丁度次の日に公開だったSiS〜を公開当日に(なので2日連続で観た)のは良い思い出です。
「SiSメンバーがかわいそうで見ていられなかった」って感想もネットにはあったけど、わたしは、それも含めてもめちゃくちゃ面白いドキュメンタリーでした。
「SiSを振り回した大人」のおふたりを通して、やっぱり「仕事」がすきだな、「社会」にでていたいな、と改めて思ったというか。WACK教なんて言っていたけど、渡辺さんと働きたいと思う気持ちはわかるなと感じました。ずるい。上手い。
そんな経緯で手に取った本だったので、わたしが知りたいことが書いてある本ではなかったかな。
ただ、初めて知った映画も多々あったので、ぜひ観てみたいと思います。自分の知らない世界を覗きたいな。
『今だけのあの子』芦沢央(創元推理文庫)
ミステリの定義がわからない。
「推理小説」「探偵小説」を想像していたのですが、違いました。
全て、ラストに明るい裏切りがある「女の友情」の短編集。
わかるわ、大変だったわね、つらかったでしょう。
話を聞く前から、少なくともそのどれかを口にしようと決めていた。相手から話を引き出すためには、まずわかりやすい共感を示してみせる。それは、わたしが七十年余り生きてきて身につけた処世術の一つだった。
俺もそう思うよと、そうひと言言うだけで気持ちは全然変わってくるというのに。ほとんどの場合はそれだけで解決してしまうと言っても過言ではない。人が愚痴をこぼすのは、共感して、不満を抱いている自分を肯定してもらいたいだけなのだから。
そうなんだよね、自分が愚痴こぼすときだって、聞いてほしいだけなんだ。
解決策がほしいわけじゃないんだ。
なのに、毎回、会社の愚痴を送ってくる同僚に「こう上司に言ってみたら?」とか「本当はこういう意味だったんじゃない?(ポジティブ変換)」とか言っちゃうんだよ……
自分のことは棚にあげて(重要)
知り合いはもちろん自分に関わることの愚痴を聞くのがきらいなんです。わは。
愚痴の対象がまったく知らない人だったら、親身になって聞けたり、笑い話にできたりするけど。
100%同じ感情のことって滅多にないし、その人が嫌いでも、わたしはそうじゃなかったり。逆もまた然りなので、お互いの知り合いの愚痴は聞きたくないし、言いたくなーーい!
って言いつつ、自分棚上げマンなので、つい言っていることもあるかもしれない。ごめんなさい。気をつけよう。
「今だけのあの子」
卒業で、就職で、結婚で、出産で、めまぐるしく変わる 女の友情。
今は、SNSがあるからいいですよね。
おかげで、歴代の友人はもちろん、物心ついていない時からの友人の現状だって だいたい分かるし、連絡もすぐにとれる。
その時だからこそ、生まれた友情。
多少、変わっていっても、それはそれでいいと思う。
またいつか縁があったら交わって「その時」の話を笑ってすればいいんだから。
『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』ジュリア・キャメロン(サンマーク出版)
はあちゅうさんが、おすすめの本の一冊であげていて、読んだ順では『かかわり方のまなび方』の次に読んだ本。
『かかわり方のまなび方』で、ワークショップを受けてみたいなあ、と思っていたら、この本が12週間のワークショップの本だったのでした。引きのよさ!
まだワークショップは途中なのですが、明日からお先に頂くGWに感想文は残したくなーい!と思い、えいやっと書いてしまうことにします。
英題は「The Artist's Way」
「創造性を養うためのワークショップ」の本です。
<基本ツール>
1.モーニング・ページ
毎朝、起き抜けに3ページ分その時考えていることをなんでもいいからノートに書き出す。 「脳の排水」
2. アーティスト・デート
週に2時間程度、自分ひとりの時間を作り好きなことをする。「自分とデートをする」自分の中の創造力と話をする時間になるならば、何をしてもよい。
上記の<基本ツール>の他に、週に1度1時間ほどの自分と向き合う簡単なエクササイズ(×12週分)が用意されています。
ほとんどの人は、自分のやりたいことを断念することで、いい人間であろうとする。その結果、自らの創造性から離れてしまうが、「自分はいいことをしているのだ」という偽りの精神性を培っていく。これを私は善人の罠と呼んでいる。善人の罠は、自己否定の一つにすぎない。世間体を保ちたい、大人になりたいという衝動はアーティストをだめにし、終わらせることさえあるのだ。
ふつう「自分にはできない」というとき、私たちはじつは、「完璧にできるという保証がないかぎり、やりたくない」と言っているのである。
「自分のしているごまかしに愚痴をこぼすのをやめ、自分が本当に求めているものに手を伸ばしなさい。」私はずっとこのアドバイスに従おうとしてきた。
まだ初めて2週間ほどですが、「モーニング・ページ」をしていたらネガティブな暗い気持ちになることが減った気がします。書きながら、気持ちの整理がつくのかな。
「眠りにつくまで悩みます。でも、それまでに解決しなければ、もうその事柄では一生悩まない。寝るまでに解決策が見つからなければ、一生解決しない。」
カズレーザーさんの この言葉じゃないけど、失敗したり暗い気持ちに襲われたりしても、書くことで切り替えが早くできるようになったんじゃないかと。
「書く」ことで整理がついていると感じるのは、この感想文ブログも同じで。
読んで、感想文を書いて、小説は別だけど、自己啓発や科学書もとりあえず書いてあることは試して、自分にあわなかったらやめようって思えるようになりました。細かく、書いてあること全部!ではないけど、ほぼ実践している。楽しいです。
今までは、「知らないから」漠然とこわいものになっていたんだなあ、と。
話がいつも通りずれましたが、
「時間ない」とか「めんどくさい」とかじゃなく「とりあえず、やってみよう!」って思えるひとにはおすすめしたい本です。
「脳の排水」、すっきりしまっせ。