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=== memo ===

こつこつ読書感想文📝

『窓の魚』西加奈子(新潮文庫)

女の人の死体が浮かんでいたという、あの池の上を、歩いたのだという事実、宿の浴衣が、鯉と一緒に、ゆらゆらと揺れていたのだと思うと、それはひどく、美しい景色のような気がしました。

そして、その女の人が、出来るなら、私が露天で会った、あの女の子であればいいと、思いました。(P50)

 

死体として発見されたのは、誰なのか。

犯人は、誰なのか。

 

ナツとアキオ、ハルナとトウヤマの2組の恋人たちの温泉旅行。

それぞれの視点で、同じ一晩が描かれる。

お知り合いにおすすめされて手に取った本。 西加奈子さんの本は何冊か読んだのですが、今までのものと全然違う雰囲気で驚きました。

いい小説を読むと、余韻に浸りたくなる。

巻末の解説でこうあるのですが、確かに色々と考えさせられる不思議な読後感。

これを余韻と呼ぶのか。後味は、悪い!ぞ!

 

この本の底にあるものは「恋愛」だと思うのですが、 各々の視点で語られる恋人や友人の印象が、本人の考えや真意と違うことばかりなのが面白かった。

わたしたちが普段わかったつもりでいる会話や理解もこんな風に信用ならない頼りないものなのかもしれない。

 

むかしのクリープハイプのうたのようだった。

って、言ったら、わかってくれるかな。


creephyp- グレーマンのせいにする

『あなたの体は9割が細菌』アランナ・コリン(河出書房新書)

私たちと微生物の関係は三つの側面から脅かされている。抗生物質を使いすぎていること、食物繊維の摂取がたりないこと、赤ん坊のマイクロバイオータの植え付けと育て方が変わってしまったことだ。 (P299)


LIFE SHIFTで100年ライフを考え、こちらで健康に過ごす方法を知る。
とてもよい流れでこちらを手に取りました。
科学って、医療って、すごい!と、感動さえ覚えた一冊。
正直、最近読んだどの小説よりも面白かった。

 

 

この本の主なテーマは、
肥満、過敏性腸症候群、アレルギー、自己免疫疾患、自閉症など20世紀後半から先進国で急増している病気は、人体内に存在する細胞の90%を占める微生物の様相が従来と変わってしまったことで生じている、ということ。

 

【目次】
プロローグ 回復はしたけれど
序章 人体の90%は微生物でできている
第1章 21世紀の病気
第2章 あらゆる病気は腸からはじまる
第3章 心を操る微生物
第4章 利己的な微生物
第5章 微生物世界の果てしなき戦い
第6章 あなたはあなたの微生物が食べたものでできている
第7章 産声を上げたときから
第8章 微生物生態系を修復する
終章 21世紀の健康
エピローグ 100%の世話をする

 

私たちの体は、さまざまな機能を腸内の細菌にアウトソーシングしている。
うつ病も、肥満も、体内に共存している腸内微生物(マイクロバイオータ)の生態系が崩れたことが原因なのかもしれない。

自閉症や乳児と母の微生物の関係なんていうのも大変興味深かったのですが、女性なら特にいつも頭の片隅に「 ダ イ エ ッ ト 」の文字があるのではということで以下、抜粋。

太った人にはフィルミクテス門の細菌が、痩せた人にはバクオイデーテス門の細菌が多かった。

身長163cm、体重62キロ、BMI値23.5という平均的な女性を例にとってみよう。
この女性は1日に2000キロカロリーを摂取するが、肥満型のマイクロバイオータを有していると2%余分にカロリー吸収する、つまり、1日に40キロカロリー加わる。
エネルギーの消費量がいつもどおりであれば、この余分なカロリーは理論上、1年で1.9キロの体重増になる。

ターンバウの実験は、ヒトの栄養についての考え方に革命をもたらした。
食品に表示されているカロリー量は、だれが食べても同じカロリーになることを前提としている。だが、事はそれほど単純ではない。そのヨーグルトはふつうの体重の人には137キロカロリーでも、太った人には140キロカロリーになる。
別のマイクロバイオータを抱えた人ならまた別のカロリー量になるかもしれない。
そして、このわずかな差は積もり積もって大きな差となる。

微生物があなたに代わって食べ物から余分にエネルギーを引き出すのなら、あなたが食べ物から得るカロリー量を決めるのは標準換算表ではなくあなたの微生物群だ。
どれだけダイエットに励んでも成功しないのは、これが原因かもしれない。

(P81〜)

いとうあさこさんの「食べなくても、、太る!!」というネタを思い出したのですが、YouTubeを探してみてもみつからなかった。笑)

 

科学的にはもう遅れているなんて意見もちらほら見受けられたけど、この内容で遅れているなんて、もっと最先端を知りたくなってしまうじゃないか………

 

この本を読むと、自分の体内が、ひとつの水槽のような、庭のような、街のような、微生物のための器になったような気分になります。

よい方向に導いてくれるであろう共存者の好物は、食物繊維オリゴ糖

微生物の友人たちのために、食べるものを、抗生物質を、出産方法を 選択していかなければ。

 

ここには書かなかったのだけど、抗生物質のくだりも本当に興味深いのでぜひ大切な人たちにおすすめしたい!体が資本!!だぞっ


山崎まさよし / セロリ

『憧れの女の子』朝比奈あすか(双葉社)

受精卵は最初こそ女の子の体を作ろうとするそうだ。
X染色体だけなら順調に女の子に仕上がっていくが、Y染色体が紛れ込んでいると、やつらはできあがりつつある女の子の体に、男の子の要素を加えてゆく。精巣をつくり、男の子らしさを誘発するためのホルモンシャワーを浴びさせて、将来の男性化プログラムを赤ん坊のちいさな体にしっかり組みこませる。
おれという生命体は、出だしのほんの一瞬は、女だったのだ。
「憧れの女の子」P24

 

「生」と「性」に関わる、表題作含む短編5編。

 

憧れの女の子

「次は女の子を産むわ」

妻の宣言から始まる、子作りと夫婦の話。

世界は終わらない。まだ逞しく、ふてぶてしい。(P61)

ある男女をとりまく風景

センギョウシュフのマスミと、ジュン。
自分のなかのジェンダー固定観念にはっとする。
読んで騙されてほしい。

弟の婚約者

このまま、たぶん四十を過ぎても、五十になっても、母のもとで、わたしは「女の子」だ。(P125)

リボン

いわゆる「ゲイ」や「オネエ」とまわりから言われるタケルが経営するカフェに新しいアルバイトがやってくる。
道華の弟。偽装留年する大学4年生。
タケルは彼が何を考えているのか、全然わからない。

さみしいという感情こそ、XX、XY関係なく、神は平等に与えた。(P210)

わたくしたちの境目は

妻の初子が亡くなって一年が過ぎた。
初子は五十で乳がんをやり、左胸を摘出していた。

あの時の妻が、すでに鰐男たちの欲望の対象ではなく、男女の差さえ縮まり果てた姿であったとしても、その体には一瞬一瞬のちいさな記憶の煌きが無数に刻まれていたはずだった。
その輝きたちがただひとつの乳房を求めた。(P258)

とにかく朝が来たら着替えること。着替えるのをやめたら、あっという間にアア……だからね。(P216)

 

たとえば、恋をした時。
性別があってよかったな〜なんて思うこともあるけど、
性別以上に同じ人間のはずなのに、なんでこんなにもまだまだ「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」で溢れているんだろう。
性別からもっと自由になれれば、きっと変わる。わたしから、変わらなきゃ。

全てテーマは違えど、全てそんなことを考える短編集。

 


大森靖子「絶対彼女」LIVE映像 3.15発売[kitixxxgaia]ドグマ盤Blu-rayより